物流業界におけるラストワンマイルとは?重要視される背景や課題を解説
今回は物流業務を行う上で押さえておきたいラストワンマイルについて解説します。ECササービスでは「送料無料」「翌日配送」など付加価値サービスが続々と登場していますが、これらは物流と密接に関係しています。そのため、ラストワンマイルを見直してみてください。
ECサービスの顧客ロイヤリティを向上させるために「送料無料」「翌日配送」などの付加サービスを付けたいけれど、物流コストが上がるとお悩みを抱えていませんか?このような悩みを抱えたら、ラストワンマイル配送の課題を洗い出して改善することが大切です。
本記事では、提案型EC物流を得意とするサンインテルネット株式会社が、ラストワンマイル配送について解説します。ぜひ、物流の見直しにお役立てください。
ラストワンマイルとは
ラストワンマイル(last one mile)とは、最終拠点からお客様に荷物が到達するまでの区間をいいます。
EC市場規模は拡大し続けて競争激化しており、ECサービスは「送料無料 」「翌日配送(商品を注文した翌日に届くサービス)」などの付加価値を付けなければ顧客が獲得できなくなってきました。
これらのECサイト戦略を実現するためには、物流コストを抑えたり配送スピードを上げたりすることが欠かせません。
そのため、ラストワンマイル配送を見直す必要があります。
ラストワンマイル配送の課題
物流を改善しないと物流コストが高騰し「送料無料」「翌日配送」などのECサイト戦略の実現が難しくなるため、ラストワンマイル配送を見直してみましょう。ラストワンマイル配送は顧客満足度の向上が欠かせませんが、見直すと3つの課題に遭遇します。
ドライバーの人手不足
EC市場規模が拡大する裏で、物流会社は深刻な人手不足に陥っています。ドライバー不足の原因は、労働条件が過酷だったり女性進出が遅れていたりするためです。
また、高齢者のドライバーが多く若手ドライバーが少ないため、定年退職などで人手不足に陥る物流会社も存在します。
2024年から過酷な労働条件を改善するためにドライバーの時間外労働の上限が960時間となり、稼働時間に制限がかけられて各社が人手不足に悩んでいる状況です。
再配達の件数が多い
ラストワンマイル配送の大きな課題は再配達率の多さです。2023年4月の再配達率は11.4%宅配便数245万4,591万個のうち、再発数は30万7,511個となっています。
再配達件数が多いと宅配ドライバーの宅配効率や生産性が下がります。また、再配達すると余分な燃料費や人件費がかかるため、再配達が起きないような工夫が必要です。
参考:国土交通省『宅配便再配達実態調査』
トラック積載効率が悪い
EC市場規模が拡大していますが、ECサイトで購入する商品はさまざまです。多品種、小ロットの品物を配送しなければいけないためトラック積載効率が悪くなります。
トラック積載効率は、1993年に55%ぐらいを推移していましたが、近年は40%前後と下がっています。ECサイトが普及して個人が小さい商品を注文しているためトラック積載効率が低下している状況です。
参考:国土交通省『最近の物流政策について』
ラストランマイル配送の課題解決法
ラストワンマイル配送サービスの課題を解決するための方法は9つあります。
ロボット配送
さまざまな物流会社で自動配送ロボットの実証実験が行われています。EC市場の拡大で宅配需要が急増する中、ドライバー不足は深刻な問題となっています。このような課題を解決できるとして自動配送ロボットの実証実験が行われ始めました。セブンイレブンや楽天、クロネコヤマトなどで自動配送ロボットの実証実験が行われています。
労働環境を整備する
ドライバーを確保するためには、ドライバーの労働環境を整備することが大切です。
トラックドライバーの平均年収は約400万円です。つまり全産業の平均年収より5~10%低くなっています。
ドライバーの基本給の底上げや賞与の支給など平均年収を上げれば、ドライバーを確保できるようになるでしょう。また、住宅補助など福利厚生や、柔軟な働き方を認める時短制度を導入すれば、人材不足を解消していけます。
参考:国土交通省『トラック運送業の現状等について』
人材紹介サービスを利用する
ドライバーを確保する際に人材紹介サービスを利用する方法もあります。近年はドライバーに特化した人材紹介会社があります。
このような会社とネットワークを構築しておけば、ドライバーが必要なときにベテランドライバーをすぐに雇用できます。とくに、時期や季節で物流波動が起きる場合は人材紹介サービスを上手く活用するとよいでしょう。
配達アプリを活用する
お客様に配達アプリを提供して、多様な受取方法が選択できるようにすれば再配達率を抑制できます
。例えば、前日にお客様に「明日、お荷物をお届けする予定ですが、ご希望の受け取り方法はありますか?」と尋ねておき「対面」「置き配」「宅配ロッカー」「コンビニ」などの受取方法が選べるようにすれば再発率を防止できます。
モーダルシフトを導入する
物流業務にモーダルシフトを導入して物流業務を効率化するのも1つの方法です。モーダルシフトとは、トラックで行われている配送業務を鉄道や船舶、飛行機などに転換することをいいます。モーダルシフトを導入して物流を効率化すれば、少ない人数でより多くの荷物を運べるようになります。
共同配送を利用する
共同の仕組みを構築すれば、ドライバー業務を効率化できます。共同配送とは、同じエリアを配送しているドライバーの荷物を途中で組み合わせて、積載量をアップする配送方法です。物流業務を効率化するだけでなく、二酸化炭素排出量が減らせて環境に配慮した輸送ができるため共同配送が注目を浴びています。
トラック積載量を計算する
トラック積載量を計算すれば、より多くの荷物が1度に運べるようになります。これまでは経験、目視によりトラック積載量が計算されていましたが、AIでトラック積載量を計算する動きが出てきました。AIによるトラック積載量計算を取り入れて、約4400分の運行本数を減らした企業も存在します。
物流DXで業務効率化する
物流DXで業務効率化を図れば、生産性を上げることができます。物流業務の事務作業を自動化し事務員の給与を削減できれば、その分をドライバーの給与にすることもできるでしょう。物流DXはさまざまなものがありますが、代表的なものを覚えておくことをおすすめします。
【物流DXの参考例】
- AI点呼ロボット:ドライバー管理者の負荷を軽減
- 自動配車システム:トラック配送業務を標準化
- GPS:トラックの動態管理が必要
- AI-OCR:点検記録等の入力作業を効率化
- マッチングサービス:荷主をマッチングさせて共同輸送の機会を創出
- アプリ:荷主とドライバーを繋ぐプラットフォーム
- ドローン:過疎地域への配達を効率化
物流をアウトソーシングする
ラストワンマイル配送の課題を解決する方法をご紹介しましたが、さまざまな投資が必要になります。そのため、自社では課題を解決できないと悩んでしまうかもしれません。このような悩みを抱えたらアウトソーシングサービスを利用しましょう。アウトソーシングサービスを利用すれば、自社で設備投資せず、物流のプロに全てをお任せできます。
物流アウトソーシングサービスの選び方は慎重に行う必要があります。アウトソーシングサービスの選び方について下記の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:『物流アウトソーシングとは?物流会社の選び方や導入の流れを紹介』
まとめ
ラストワンマイル(last one mile)とは、最終拠点からお客様に荷物が到達するまでの区間をいいます。
EC市場規模は拡大し続けて競争激化しており、ECサービスは「送料無料」「翌日配送」などの付加サービスを付けなければいけなくなり、ラストワンマイル配送を見直して物流コストを抑えたり、配送スピードを上げたりしなければいけません。
しかし、ラストワンマイル配送には「再配達問題」「人材不足問題」「積載量の非効率問題」があり、これらを解決する必要があります。
この記事では、ラストワンマイル配送の課題の解決方法をご紹介したため、ぜひ参考にしながら物流強化をしてみてください。
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